来年で私も20代最後の年を迎えることになります。その中で確固たる「キャリア」を築けたか?というとやや疑問に思いますが、インプットやアウトプットした知識量などから考えれば「それ相応かな」と。
さて、本書をひと通り読み終えて、ターゲットは「職に就いて比較的年数が浅いビジネスパーソン」「転職したての第二新卒の方」「就職活動中の学生さん」あたりがいいのではないでしょうか。全体的に平易な文章で書かれていますので、取っ付きは良いと思います。各章の書評は以下よりどうぞ。
第1章「なぜ、就職してすぐの三年間が重要なのか」を読んで
先ほども言いました「第二新卒」という言葉が出てきたのも数年ぐらい前の話でしょうか。ウィキペディアの解説によれば「ブラック企業に入ってしまった」人もまた第二新卒だと言います。逆にブラック企業のように過酷な労働環境にないならば、安易に自分の置かれているキャリアを手放さない、自分から転職したり辞めたりすることを著者は良しとしていません。
第2章「ファーストキャリアを築くためのステップ」を読んで
さて、第1章で言っていたとおり、会社を辞めずにぬるま湯的な現状に浸っておけばいいのか?というとそうではありません。
給料を貰いながら仕事をこなしていく中で、さまざまな事態に直面してはそれを乗り越え、キャリアアップの糧としていくというのは一般論ですが、最近の若いモン(この言い方…)の意識で、「自分の得意分野に対してしかパフォーマンスを発揮しない」「(ナンバーワンより)オンリーワン思考になりがち」と述べています。
前者なら、あくまで相手の立場に立って物事を考え実行すること、後者は「まずナンバーワンになって、そのプロセスやノウハウがオンリーワンに活かされる」ということが印象に残っています。
第3章「『自ら育つ』ための行動を決定づける8つの視点」を読んで
先ほど述べた「相手目線で事を考え実行する」力。これをどうやって養うかというポイントが8個掲載されていますが、その中で参考になったのは
・視点2 何をするかではなく、誰とやるかを大切にする
・視点5 異質と多様性を価値とする
・視点7 すべての原因は自分に帰する
でしょうか。視点2については、やはり組織で働く以上は人と人との繋がりは絶対不可欠。その中で人を選ぶなんてことは最初は出来ないでしょうが、「この人と仕事したい!」モデルとなる人がいれば、その人に近づけるように努力するということが述べられています。
視点5は、「仲良し集団」と「そうでない集団」に分かれているならば、自ら進んで「そうでない集団」に突入することが吉と書かれています。SNSを例に挙げていますが、いつもの自分の繋がりに加えて、今まで自分の入ったことのないコミュニティー等に入ってみるのも手かもしれませんね。
視点7は、別に「常に自責の念を持って行動する」とかそういう類のことではなく、自分の関わっていること、小さなことでも問題点を発見し、洗い出し解決策を見出していくことの重要性が書かれています。
第4章「ファーストキャリアを築くために明日からできること」を読んで
実践項目が21個書かれていますので、気になったものをいくつか紹介レビューしていきたいなと思います。
・考動08 y=2xの曲線で成長する
仕事の試行回数をx、パフォーマンスをyとすると、指数関数的に経験が上がっていくということです。経験が上がればあとは自律的に成長することも可能だと。もちろん、経験を積めば積むだけ「出来る」ラインの仕事が増えて好循環を作り上げることができるということです。
・考動12 ビジョンと戦略的思考の両方を持つ
「こうしよう」「こうなろう」「ここまで持っていこう」というビジョンも大事な一方「どうすればいいだろうか」「ここまでの最短距離は…」「どの手とどの手を組み合わせるか…」という戦略的思考、両方大事だという著者の考えには私も共感。両方を持っていればどちらか一方が尽きても(あるいは考えられなくなったときにも)もう一方がそれらを補完するという感覚を持っていたらいいかもしれませんね。
・考動18 右脳と左脳を別々に動かす
右脳は直感的、左脳は論理的・・・とよく言われますが、特に文書等作っているときは右脳の「直感的」パワーを全開にして、後で左脳の「論理的」思考に手伝って貰うと全体の出来がよくなるということです。もちろん別々に動かすなんてことはできませんが、心がけておくことで何かの助けになるかも。
全体を振り返って
「ファーストキャリア」が築けているか、いないかという具体的なチェック項目については触れられていません。つまり自分の意識次第ということでしょうか。
来年新卒の人は「会社が求めるキャリア」と「自分が実現したいキャリア」の間にギャップが存在するかもしれません。が、そうなったからと言ってすぐ諦めたり頓挫する前にもう一度、会社の求めるキャリアと、自分がこれから形成すべきキャリア(ファーストキャリア)の間にある溝を埋めていき、有意義な20代を過ごしてほしいですね。
20代でファーストキャリアを築ける人、築けない人
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